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同人漫画「FEGEAR」(日本語)9話「棄てられた町」

創作ロボット漫画、日本語版第9話

旧産戦の捕虜となったカルムはその少年兵たちのリーダー、
ザマンと行動を共にする。 彼の町にはハーヴァルの廃工場があり
住人達の生活は貧しく荒んでいた。 ザマンは町がこうなった元凶は
連盟と元町長であると語り始める…。


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作画動画


カチャッ

「妙なマネすんなよ」 「しねーよ」
「じゃ、話してくれよ この町のこと」
「昔この町ではみんな石を掘ってた コイツみたいに…」
「ネオジムって石をな」
「だから連盟…、ハーヴァルはこの町に工場を作ったんだ」


FEGEAR フィーギア 9話:棄てられた町
猿田久


「なあ」
「ネオジムってなんだ?」 「おまえ…ホントにパイロットか?」
「フィーギアがいくつものモーターで動いてるのはわかるか?」
「ん? ああ」
「そのモーターの磁石の材料になるのがネオジムだ」
「フィーギアを造るのにそれが大量に要るんだ」

この町ではそのネオジムが大量に採掘できたんだ
みんな懸命に掘って工場に納めてた

「やあ、みなさん」
「毎日ごくろうさま」
「これ、みんなでどうぞ」 「ありがとうございます、町長」

ネオジムと工場のおかげでこの町は豊かで、
みんな幸せだった
だが…

「ダメだ…」
「いくら掘っても出てこない もう掘りつくしたのか…?」
「そんなはずはない!」
「もっと掘ればまたかならず出てくる!!」

小さかったオレみたいな子供もいっしょに必死で掘ったが
結果はおなじだった

「くそっ! なんで出ねえんだ!!」
「もう工場の納期はとっくにすぎてんのに…」「あきらめるな!!」
「もうすこし…、もうすこしがんばれば必ず…」

プルルル

「はい あ、町長 申しわけありません もうすこしだけ納期を延ばすように工場に…」
「え……?」
「工場が町から撤退する……?」
「あなたも町長をやめる…!?」 「ちょっと待ってください!!」
「そんな急に…! それはいつなんですか!?」 「そんなに早く…!?」
「まるでずっと前から準備してたみたいじゃ…」 「……!!」
「まさか……」 「最初から石が出なくなったらそうするつもりで…?」
「オレたちを…、この町を裏切るのか!?」 「…裏切る?」
「裏切られたのはこっちだよ」
「まったく残念だよ」
「きみたちの仕事には期待してたんだがね」

ブツッ

ツーッ ツーッ…

ガシャアン

「ふざけるな、ハーヴァル! 町長!!」「出てきて説明しろ!!」
「ザマン、おまえまで来て大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、父ちゃん」

ズシン

「!?」

ヤツらはオレたちの制圧にフィーギアを使った
オレたちの石を使ったフィーギアをな

ドン

ドン ドン

「催涙弾か!?」「くそっ!!」

ガァン

ドシャァ

「!!」
「…父……ちゃん?」
「父ちゃん!」 「父ちゃあん!!」
「母…、ちゃん……」

ガッ

「おい、いいかげんにしろ、おまえら!!」「うるせえ! だったら止めてみやがれ!!」
「アイツらまたやってるよ」 「ほっとけよ」
「反フィーギア、旧産業回帰戦線とか名乗ってるけど…」 「連盟の手先が好き放題やってるだけじゃねえか」

ザッ

「ザマン、どこ行くんだよ?」
「アイツらの組織に入る」 「はぁ!?」
「おまえ本気か!? あんなヤツらに…!」 「ああ、あんなヤツらただのニセモノだ」
「だから…」
「オレが本物の反フィーギアにしてやるんだ」
「............」
「連盟が……、フィーギアなんかがあるから悪いんだ……」
「............」
「この町…、ハーヴァルの工場があったんですね……」 「ああ」
「ずいぶん恨まれながら出ていったみたいだがな」
「中入って」
「レヴァンが話したいって」
「おまえらの依頼、請けることにした」
「ちょ…、レヴァン!?」 「エンリ、説明たのむ」 「うん」
「警…、依頼人の話によると旧産戦はおもにふたつの勢力にわかれてて…」
「連盟の手先の連盟派と、本物の反フィーギアを目指す非連盟派が対立してるらしい」
「あたしたちを襲ってカル兄たちを捕らえた連中は非連盟派と思ってまちがいない」
「ねえ、やっぱりやめようよ」 「おまえは相手の名前にビビりすぎだ」
「コイツらが負けたのは生身の相手に本気で戦えなかったからだ」 「だが…」
「オレたちならやれる」 「フィーギアで何度も生身の人間を相手にしてきた」
「............」
「だがフィーギアを使う連盟派が出てくるおそれもある だから…」 「うん」
「一気にすばやく非連盟派のアジトを制圧しなきゃならない」 「そうだ」
「............」
「よし、決まりだ 明日の昼までに決行するぞ」
「はい!」
「カル兄、フォル 絶対救けてやるから…」

ガチャン

「じゃ、あしたの朝メシもたのむぜー」 「おう、おやすみー」
「ずいぶんとなかよくなったもんだな」
「……ああ」 「アイツら世間じゃ悪魔みたいに言われてるらしいけど…」
「うまいもの食ってよろこんだり…」
「ひでえことされて悲しんだり…」
「アイツらもオレたちとおなじ人間なんだよな」
「目的を忘れてるようだから思い出させてやる」
「オレたちは、」 「ヤツらをつぶしに来たんだぞ」
「しょせんヤツらはテロリストだ 心を許してもろくなことにはならん」
「…そんなに依頼が大事かよ?」 「大事だ 依頼を果たせば金が入る ハーヴァルの買収に必要だからな」
「おまえはそうやってバカな善人を気取ってろ」

ドッ

「あぁ?」
「だが…」
「おまえみたいなバカが少しはいてもいいと思うがな」
「…………」

「ザマン…でしたっけ 非連盟派のリーダーは…」 「今日の10時ごろにこの地区に食事を出しに行くそうです」
「情報は伝えましたから、僕はこれで」

バタン

「ふーっ…」

ドッ

「…………」 「なんなんだあのガキ… 元・町長との仲介役とか言ってたが…」
「人間の威圧感じゃねえぞ、ありゃ……」
「それより…、こんな出どころのわからねえ情報信用すんのか…?」
「ああ、たしかにうさんくせえな だが……」

「あのガキどもを始末できるんなら信用してやろうじゃねえか」
「軽い気持ちで仲間に入れたガキどもがあんな目ざわりになるとは思わなかったが…」
「それも今日で終わりだ」
「決着をつけてやる」