創作ロボット漫画、日本語版第3話
エンリは彼らのもうひとりの兄弟、「サウリー」の動画を手に入れる。
「サウリー」への憎しみと殺意に駆られるエンリにカルムとキマは
複雑な思いを抱える。 3人はフォルナンディとともにサウリーの
手掛かりを求めて動画の撮られた港町に向かう。
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「もうひとり兄弟がいたのか」 「残念ながらね」
「そういうわけなんだ」
トッ
「フォル」
「何だその呼び方は…」 「あらためて頼む」
「オレに…、オレたちに手を貸してくれ」
「オレたちはコイツを…」 「殺さなきゃいけないの!」
FEGEAR 3話:ペンと便箋
猿田久
「おまえらがよほどコイツを恨んでるのはよくわかった」
「だが、それがどうした?」
「オレがおまえらに手を貸すのは金のためだけだ」 「おまえら兄弟の事情など知ったことか」
「んだと?」 「わかった」
「アンタに得がないと思ったらいつでも手を切ってくれていい」 「でも手を組むかぎりは仕事はちゃんとやってもらう」
「............」
「じゃ、じゃあ…!」
「動画の場所はわかってるんでしょ?」 「さっそく行こうよ、フォルさんも ね?」
「............」 「そうだね」
ガシャン ガシャン
ブルルル…
「............」
「ハーヴァルを買い取る?」
「アイツそんなこと言ってんの?」 「うん…」
「それは…、大胆というか無謀でしょ」
「あのフォルナンディってヤツ気に入らないし信用できないけど、」 「借りられる手は借りるだけ」
「サウリーを殺すためにね」
「............」
「ジルマン警部が約束取りつけてくれてるらしいから」
「さっそくこの街の警察署に行こうよ」
「このサウリーというヤツはよく知らんが、相手の男のほうはよく知ってる」
「エンガル=コリド旧倉庫街を拠点に7年間、闇市場で商売をしてる密売人だ」
「この港町では多くの密売人が活動してるが…」 「コリドはその中でも一番の大物だ」
「ちょっと待ってよ、7年もこんなヤツ逮捕できなかったの? ここの警察何やって…」 「それは…」
ガチャ
「課長 早く仕事戻ってくださいよ」
「そんなガキどものお守りなんかしてないで…」 「!」
「............」 「ははっ」
「7年も密売人ひとり捕まえられない警察がえらっそーに」 「な!?」
「てめえ…!」 「ねえ、課長」
「あたしたちがこのコリドってヤツ捕まえたら、コイツからサウリーの情報聞き出していい?」 「!?」
「課長! こんなガキどもにそんなのできるわけ…」 「わかった」
「課長!?」 「だが、捕まえられたらだぞ」
「よし 決まりだな!」
「オレとキマが旧倉庫街ってところに行くこっちはたのむぜ」 「あ、おい!」
「コリドは…!」
バタン
「?」
「旧倉庫街までは8キロだって」 「そんな遠いのか?」
「こんなせまい道じゃオルディンは使えねえし…」
「!」
「なあ」
「その機体貸してくんねえかな?」 「はあ?」
「何言ってるんだダメに決ま…」 「ああ、くそ…」
「たのむよ 一種パイロットなんだ」
「ちゃんと返すからさ な?」 「............」
ブロロロ…
キッ
「よし、ここのはず…」
ヒュウ…ゥウ…
「旧倉庫街って…、これ全部かよ…?」 「............」
「コリドは元AI研究者だ」 「非常に優秀だったが、AIを金もうけにしか使おうとしなかったために学会を追放されてる」
スッ
「これが旧倉庫街の地図だ」
「ヤツは高性能のAIをそなえたコンピューターに取引に使う倉庫を選ばせてる」 「だから我々は逮捕できなかった」
「............」
「ねえ」
「これまでに取引に使われた倉庫のデータある?」 「は?」
ドサッ
「ありがと」 「何するんだこんなもんで?」
バン
ザプ
ガリ ガリ ガリ
ガリ ガリ ガリ
「……!?」
「な…、 何やってんだ…?」 「ほお」
「筆算で取引に使われてる倉庫の計算予測か」 「え!?」
ガリ ガリ ガリ
「そ…、そんなのできるんですか?」 「普通は高性能のスパコンとかでやるもんだが…」
「実際やってるしな…」
「よし、もう少し…」 「!」
「ちょっと! 最近2年分のデータは!?」 「!!」
「それは…、デジタルしかねえよ」
「............」
「……ねえ?」
ビクッ
「この…、「A」…っての押したら全部やってくれんの…?」 「はあああああああ!?」
「どけ」
グイ
「まったく 今時デジタル音痴か」
カタ カタ カタ
「倉庫のデータだけ抽出すればいいんだな?」
カタ カタ
「あ…、 うん」
トン
ウィーン
「ホレ」
「これでできるだろ」
「うん…、これなら」
ピッ
「もしもし、エンリか!?」
「カル兄 倉庫の予測できた」
「93パーセントの確率で、31番倉庫で今取引してるはず!」 「わかった!」
「当たりだ エンリのヤツさすがだな」
「人はそんなにいないけど、フィーギアが一体いるね」
「パイロットが乗るには小さいし、たぶん頭のAIで動いてると思う」
「キマ」
「コイツの出力できるだけ上げてくれ」
「これでアレとやる気なの?」 「警察の応援なんか待ってらんねえだろ」
「たのむ」
「............」 「…わかった」
「でも…、」
ガチャ
「絶対勝ってよ」
「それでは、引き続きごひいきに…」
ガラララ
「なんだおまえ?」
「まあいい 見られたのなら死んでもらわんとな」
「やれ」
ピッ
ジャキッ
ドン ドン ドン
バッ
ガシィ
ジャキッ
グッ
ギュルルッ
グアッ
パシッ
ガッッ
ブツ…ンッ
ドシャア
「............!!」
「くそっ!!」
ダッ
キイッ!
「もう観念しろ」
「さっさと歩け!」 「くそっ!」
「なあ」
「アンタと取引したコイツ 何か知らねえか?」
「............」
「うあぁああ……ぁあ!!」
「た…、 たのむ! 密売はやめる!! だから……!」
「ソイツだけは…、勘弁してくれえ…!!」 「............」
「あれじゃ話聞くのは無理だね」
「だが金は…」 「わかってるよ 警察がけっこう謝礼くれるらしいしね」
「まだアンタは気に入らないし信用できないけど…」
「とりあえずお礼は言っとくよ」
「ありがと」
「じゃ、帰るよ」 「フォル」
「まったく」
「だからその呼び方は…」
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